2011-10-02

111002 谷川岳オキの耳東南稜マルチピッチ ほぼ完全ガイド

メンバー スズキ、マツダ、俺(乗ってる車は、トヨタ)

2011/10/02 7:30
ロープウェイをおりてスタート
ツアーのガイドさんが、「マイニチの方、出発しまーす。」と客を20人ぐらい引きつれて先に歩き出す。朝一番でつゆを払ってほしいので後ろにつく。しかし、遅すぎ。しかも我が家は、サンケイで毎日ではないし、一緒について行く必要なしで、追い越す。
途中肩の小屋でアンケートに答えてキーホルダーゲット。
ついでに支配人の馬場さんがいたので東南稜の降り口を聞いてみたら、肩の小屋の水をくみ上げている黒いホースのところをおりる。懸垂の支点もあるとのこと。これを聞いたのは、よかった。おかげて簡単に降り口が、わかった。

9:28
登山道から、しばしのバイバイ。本来ならば、下からマチガ沢を登りあげるのが、スジなのは、わかってますよ。しかもロープウェイを使ってなおかつ上から懸垂で降りて取り付くなんてズルするのに幾ばくかの後ろめたさを感じつつ、シラッとして肩の小屋への取水箱まで草付きを約30メートル歩いておりる。我々の目的は、マチガ沢溯行ではなく東南稜なのだ。この文章のタイトルも遠慮してマチガ沢東南稜とは書きません。
リングボルトがふたつ
トマの耳とオキの耳の鞍部を降りる。


取水箱(3メートル×2メートルぐらい)のすぐ下にリングが2本打ってある。そこでハーネス、メットを装着し懸垂下降の準備をして下降開始。懸垂下降したところは、沢登りの最後の登り上げというような感じのところである。水がちょろちょろ流れているのでロープが濡れる。すんなり真下に降りていくのではないので投げおろしてもすぐにロープの束がひっかかってしまうことが予想され、一人目が、ロープを肩に背負って下降。途中肩からうまくほぐれなかったため、2回目の懸垂下降は、ロープバックに先端からロープを入れてスムーズに繰り出せるように工夫する。しかし、9ミリとはいえ、50メートルロープ2本を体に装着しての下降は、重い。2回とも鈴木さんでした。1回目の懸垂は、屈曲したので引き下ろすのに力がいる。二人で力一杯引いてやっとで3人で引っ張った。結構重労働。2回目の懸垂をしたときにそろそろ取り付きの高度ではないかと鈴木さんが、岩場を偵察。結局もう少し下ることが判明しちょっと時間ロス。まあ、3人とも初めてなのだから、これは、想定内。50メートルロープいっぱいの懸垂2回と最後にちょっとだけ数メートルの懸垂1回。3回目の懸垂は、短かったのでロープ一本でセットし下降。先に自分が降りて二人が来る間にトラバースしてみる。踏み後もあるし取り付きの写真に似ている。ここから左折して北方向にトラバースに決定。途中トンネル状の岩と岩の間を抜ける。どこかのブログで岩小屋を抜けるとか書いてあったのを思い出した。もう、間違いなし。で、岩小屋抜けたら、すぐ取り付きに出た。下から、マチガ沢を溯行してくるパーティーが見えた。ここまであと1時間ぐらいか。結局この日は、日曜日だったが、東南稜は、2パーティーだけだった。

まだ余裕

11:31
取り付き到着。なんと登山道から離れて取り付きまで2時間かかってしまった。予定では、このパートは、30分。集合時間に遅れそうな予感。メールなら通じるかと思い厳剛新道とナカゴーチームにメールしておく。結局メールも送信されなかった。今度は、テレパシーにするか叫ぶか糸電話か。無線ですか、こっちは、あっても向こうがね。

11:50
登攀準備して登攀開始。
ここから、西黒尾根が見える。いままで何度も西黒尾根を上り下りしてきたが、わからなかった。帰りに登山道から、確認してみることにする。

1ピッチ目鈴木さん。30m
懸垂下降後トラバース
予想より手こずっている。1ピッチ目はチムニーを登るのだが、取り付き直後は、日が当たっていて乾いているが、すぐに一日中日が当たらず、なおかつ、水が1年中しみ出して常に濡れている状態になる。ヌルヌルのコケのような表面になり、ツルツルである。明らかに手や足をおけるホールドやスタンスであってもヌルヌルのツルツル。しびれた。取り付いてすぐにかましたカムもロープに引かれてポロンと外れた。すでに次の次ぐらいまでクリップしているので「鈴木さんカムはずれましたー。」と言えた。フォローで登ってみて納得。あまりに滑るので、躊躇なく腐ったヌルヌルのドロドロの気持ち悪そうな残置シュリンゲをつかむ。フリーのルートでは、絶対あり得ないルート。別なルートが、あるんじゃないかと帰って来た今でも思う。次回行くときがあれば、ルートをよく見てみたい。

トラバースし岩小屋を抜ける
2ピッチ目私。40m
ヌルヌルツルツルのチムニーを直上するルートと右にふくらんで乾いた岩を登るルートがあるとのことで、迷わず、右ルートに行きたかったのだが、右方面は、登れそうだが、ピトンが見あたらない。チムニー直上のヌルツルには、ピトンが見える。しかたなくヌルツルをアルパインクイックドローをかけながら、少し登り右にトラバース。そこからまた角度を変えて直上し、今度は、またまた角度を変えて凹角を左上、屈曲しルートも40メートルと長くロープが重い。ロープの長さからしてもスリングにカラビナがぶら下がっているところからしても2ピッチ目終了点で確保のセット。フォローで登ってくる二人は、サクッ、サクッとくるではないか。上から見ていておどおどリードした自分が情けない。言い訳がましいかもしれんが、ジムのリード壁より外岩のフリーのリードが怖いし、アルパインは、フリーと違ってさらに怖いんだよ。でもその反比例のようにスケールの大きさ高度感といった爽快感は、やっぱ、アルパインが最高です。エクストリーム系(自称。自分でもよくわからんが、アウトドアの子供がまねしちゃいけないあぶない遊びにはまる中毒患者?)としてはこれは、はずせん。

3ピッチ目スズキさん。30m
取り付き
3ピッチ目の予定は、まっちゃんだが、自信がないということで鈴木さん。3ピッチ目は、数メートルで左上するとやっとリッジに出てトマの耳と登山道が見えるようになる。鈴木さんが、でかい声で叫ぶ。どうやらうちの会の人たちが見ているようだ。この時点で13時30分。鞍部にいるのは、これから山頂に行くのではなく、明らかに僕たちを待ちきれずに見捨てて置き去りにして行く冷たい人でなしのようだ。

4ピッチ目僕。45m
途中から、懸垂下降の始点の肩の小屋の取水箱が間近に見下ろせる。廣川健太郎さんのガイド本では、3ピッチとあるが、稜線通しに登るには、もう1ピッチロープを使った方がいい。ということで4ピッチ目僕リード。途中岩と岩の間が1メートル以上、切れ落ちているところがあり、これを飛び移るのかよ。バーティカルリミットっていう映画のワンシーンのようなところがあってよいよ。ちょっと話が外れるのだが、あのバーティカルリミットって映画は、エンターテイメントとしては、おもしろいのだが、K2の8000メートルで数十メートル無酸素でダッシュで走り、さらに数メートルジャンプして対岸の岩に飛びつき腕だけで保持するという理屈としては、心停止確実のことをやってのけるのだ。すごいクライマーもいたもんだなあ。
1ピッチ目
実際には、30メートル以上ロープを引っ張ってきたところだから、ロープの重さで後ろに引かれ飛ぶのは、まったく無理だけど、ちょっぴりスリルがあって登山道のハイカーからも丸見えで「あっ、あんなとこ登ってる。」とか、言われちゃって(バカじゃないなのか、かっちょいいのかどう思われてるのかわからんが、)アクション映画のスターだぜみたいな気分。ロープ残りわずかで4ピッチ目終了点。
しかし、ハイカーから見えるのは、たかだか、3ピッチ目と4ピッチ目の数十メートルの区間に過ぎないのだが、ハイカーに見られなくてもいいところです。東南稜は、谷川岳の山頂に突き上げる稜線の最上部近くだから烏帽子沢奥壁や衝立岩とは違う高度感が、最高です(ガスってたら最低)。1ピッチ目と2ピッチ目の最初のヌルツルを突破できるクライミング能力と度胸(こちらの比重が大)をまとわなければ、ならんが、ほんといいところです。結局奇数ピッチ鈴木さん、偶数ピッチ俺の交替リードだったのでリードしては、そのままフォローの確保の繰り返し作業が続き、ほぼクライミング中の写真撮れず。

4ピッチすべて確保支点有り。
クイックドローは、一人3セット計9セット持って行ったが十分間に合った。
ナチュプロも使わず、ハンマーでピトン打ちもなし。
とはいえ、赤茶けて錆びたピトンが多いのでハンマーとピトンは、1パーティーに1セットは、持って行った方がいいでしょう。
4ピッチ目
グレードとしては、フリーとアルパインは、違うが、ヌルツルがなければ、5.7程度と思います。ちなみに僕たち3人中2人は、イレブンを何本かレッドポイントしてます。もう1人は、テン台をレッドポイントしています。東南稜では、クライミング能力としては、十分すぎるパーティーですが、3人とも初見でしたからこれでよしです。やはり、リードで登ることとフォローの確保を考えると3人中2人は、登れる人で構成したほうがいいでしょう。

4ピッチ目を終わってまだ少し稜線通しに岩がのけぞっている。ここも登りてえとつぶやいたが、時間も押しているので岩稜帯の左側面の草付きを歩き登山道に出る。登山道から、数十メートルでオキの耳山頂。

14:20
まとまりのない3人
山頂着。ガスも出てきて東南稜が見えない。この時間では、一般登山者は、ロープウェイの時間が危ういのでもう誰もおらん。ロッキー!!エイドリアーン!!がっしと合体!!みたいなことまでは、言わんが、ちょっとさみしい。たくさんのハイカーがいるところで「やったー」と握手を交わすということにもならず、デジカメのタイマーセットして3人だけで証拠写真。やっと一の倉岳方面から、馬蹄形縦走と思われる旦那2名が来たのでシャッターを押してもらう。休みもそこそこにクライミング道具をしまい、パン食って歩き出す。西黒尾根下山。天気予報通り、風が冷たい。気温が低かったので結局飲み物は、500ccしか飲まなかった。おしっこは、2回した。

17:03
指導センターに寄り、無事下山したことを報告し、日没30分前ロープウェイベースステーションに到着。
閑散とした駐車場でザックを車に積み込み谷川温泉湯テルメに。湯テルメの駐車場には、まだ結構車があるじゃないか。あっ、見たことがある屋根がテント布の赤いデミオが!この車の持ち主に屋根のテント生地は、はずしてキャンプするためですかと一度聞いてみたいと常々思っていたのだ。ザイル祭あたりがチャンスか。
風呂上がりにやっと谷川温泉で集中山行の参加者全員で集中。一応担当者なのでよかったよかった。



ちょうどこの日に衝立岩をソロで登攀していたクライマーが、滑落し死亡した。
名前が出ていたのでネットで検索し調べてみると
奈良県に住んでいる大阪の勤労者山岳連盟系の会員のようだ。
経歴としてはソロクライミングも含めてかなりの実力者と思われる。
谷川岳でも何度もクライミングの経歴を持つ。
遭難から無事生還した経験もある。
そうすると無謀な登攀を試みたのではないはずでとても残念だ。

  クライミングという行為そのものが限界への挑戦なのだから、
限界への挑戦をすればするほど死に近づいていく。
では、行きつく先は、死なのか。
それは、違う。限界に臨んで生還すること。
これもわかっていたはず。
ご冥福を祈る。            合掌


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